トラブルメーカーのピンクシャツを着たアヒル男

残酷な話

ある日、とある村にピンクシャツを着たアヒル男がやってきました。

アヒル男はいつもニコニコしていて、見た目はとても愛らしいアヒルでした。しかし、彼には誰も知らない秘密がありました。

彼はいたずらが大好きなトラブルメーカーだったのです。

ある晴れた日、アヒル男は村の広場にたくさんの風船を持って現れました。

遊んでいた子供たちに風船をプレゼントしました。みんなはとても喜んで、彼に感謝しました。

しかし、アヒル男は風船に水を入れていたので、子供たちが風船を持って遊ぶと、風船が破裂して水がこぼれてびしょぬれになってしまいました。

それを見て、アヒル男は嬉しそうに笑っていました。

次にアヒル男は、村のおばあさんが部屋に洗濯物を干しているのに目をつけました。

彼はそっと近寄り、洗濯物にペンキをひっくり返してペンキまみれにしてしまいました。

おばあさんはペンキまみれの洗濯物と部屋を見て悲しくて泣いてしまいました。

それを見て、アヒル男はまた嬉しそうに笑っていました。

次にアヒル男が村の果樹園に目をつけました。その果樹園のくだものは、村の人々にとって大切なモノでした。

しかし、アヒル男は果樹園のくだものを1つ残らず全てお腹いっぱいに食べてしました。

アヒル男はまた満足げに笑っていました。

次にアヒル男が村の橋を渡っていると、目の前で川に落ちる子供に出くわしました。

アヒル男は泳ぐのが得意でしたが・・

子供を助けず笑っていました。

幸いにも近くにいた多くの村人がすぐに子供を川から助けることができましたが・・

村人たちは、アヒル男の行動に不信感と大きな怒りを感じていました。

そんな日の夜・・

アヒル男は家の中で火事を起こしてしまいました。

彼は自分ひとりではどうすることもできず、大声で助けを求めました。しかし、誰も助けてくれませんでした。

炎が家全体に広がり始め、アヒル男は再び村の人たちに助けを求めました。しかし、残酷にもアヒル男が目にしたのは・・

燃え上がるアヒル男の家をみて、笑っている村人たちでした。

まるで、今まで困っている村人に対して笑い続けていたアヒル男と同じように・・。

アヒル男は自分自身が困る立場になり、はじめて今までの行いが悪かったことを悟りました。そして、悲しみに暮れ、この村を去る決心をしました。その日の朝に彼は荷物をまとめ、村を後にしました。

その後、ピンクシャツを着たアヒル男の消息は誰にもわかりません。

おわり

このお話のメッセージ

  • 人間のおそろしい部分を強調した作品です。人の本質的な部分に、敵とみなした人間に対して非情な部分があると思います。世の中で大小関わらず争いが起こるのも、こういう人の性質が背景にはあるのではないでしょうか。
  • 普段の生活の中で人に迷惑をかけたり、悲しませたり、怒らせたりし続けていると、本当に困っている時に誰も助けてくれなくなってしまう。もしくは、仕返しをされてしまう。いざという時に多くのサポートを得るためには、日頃の行いがとても大切だと思います。
  • 因果応報という言葉がありますが、自分が行った行為はいずれ自分の身にふりかかってくるものだと思います。そういう意味でアヒル男はとても大切な教訓を教えてくれていると思います。