桜と三日月と宇宙飛行士

楽しい話

ある春の日、子供のケンジは父と兄と3人で花見に行きました。満開の桜の木の下で、煌びやかな三日月が空に輝いていました。

その美しい光景を目の当たりにしたケンジは、宇宙飛行士になり、宇宙でもっと美しいものを見たいと夢見るようになりました。

長い年月が経ち・・。

ケンジはついに宇宙飛行士になる夢を叶えることができました。

そんなある日、突然、地球にUFOが舞い降りて、宇宙人がやってきました。

宇宙人から「宇宙一美しい物を決めるコンテスト」が開催されるので、是非地球人も参加してほしいと招待状を受け取りました。

地球を代表して、ケンジがそのコンテストに参加することになりました。世界中から美しいものを探し求めたケンジは、北極で手に入れた氷の結晶を持ってコンテストに出場することに決めました。

コンテスト当日、ケンジは地球代表として宇宙船で出発しました。

しかし、目標の惑星に到着する途中で宇宙船にトラブルが発生し、館内の温度が急上昇してしまいました。

それが原因で、なんと氷の結晶が溶けてしまったのです。

困り果てたケンジは、代わりに出展できる美しいものはないかと頭を抱えていました。

そんな時、家族との花見の思い出が脳裏に浮かんだのです。

ケンジはいつも大事にしていた家族と行った花見の写真を取り出しました。その写真には桜と三日月が美しく写っていました。彼は氷の結晶の代わりに、花見の写真をコンテストに出展することに決めました。

コンテスト会場では、さまざまな星から持ち寄られた美しいものが並んでいました。しかし、ケンジの花見の写真はその中でもひときわ輝いていました。

宇宙人の審査員たちは、はじめてみる桜と三日月の美しさに感動し、ケンジの出展作品を選んで優勝させました。

ケンジは仲間の宇宙飛行士たちと歓喜しました。

地球の人々もその優勝をモニターで見て、歓喜しました。ケンジの優勝は地球中で祝福され、家族との花見の思い出が宇宙一美しいものとして認められたことに喜びを感じました。

そして、ケンジはこのコンテストがきっかけで沢山の宇宙人の友だちができました。

ケンジは改めて地球の美しさと家族との大切な思い出を誇りに想い、これからも美しい地球を大切にすることを誓いました。

おわり

このお話のメッセージ

  • 宇宙人はどのような目的でこのようなコンテストを開いたのでしょうか?またなぜ地球に招待状をとどけてくれたのでしょうか?もしかしたら地球は、宇宙的にとても価値のある星なのかもしれませんね。
  • ケンジは知らずのうちに宇宙一美しいモノをすでに手に入れていた。地球には自然が作り出す沢山の美しいものがあるので、それを大切にしたり、楽しんだりすることは大事ですね。
  • 灯台下暗しという言葉がありますが、身近に存在しているもので普段は気づかないけど、実はとても価値があるものがあるかもしれませんね。一度身近にあるものの価値を再定義することは大切だと思います。