星に乗るモグラダンサー
あるとても遠い宇宙に、モグラしか住んでいない星がありました。その星にモグラのモグリンが住んでいました。

彼は他のモグラたちと違って穴を掘ることができず、そのせいでモグラの友達がいませんでした。モグリンはどうにか友達を作るために大好きなダンスを練習することに決めました。
「ダンスを見せて、皆に喜んでもらおう!」

モグリンは毎日、一生懸命ダンスの練習をしていました。

しかし、他のモグラたちは彼の事をバカにして笑っていました。
「なんでモグラなのに穴を掘れない?なんでモグラなのにダンスを踊る?」
「モグリンはモグラじゃないんじゃない?」
それでもモグリンはめげずに、ダンスを続けていました。しかしある夜、モグリンは悲しい気持ちを我慢できずに一人ぼっちで泣いていました。

「どうして僕だけ穴を掘ることができないの?」

涙ながらに流れ星に、
「どうか友達を下さいと願いました。」
すると、驚くべきことに流れ星が突如モグリンの前に落ちてきて、その星から生まれた妖精が話しかけてきました。

「大好きなダンスを踊り続けて!きっと君の願いが叶うから!」
その言葉だけを残し、妖精は一瞬で消えてしまいました。一瞬の出来事でしたが、その言葉がモグリンの希望になりました。その言葉を信じて毎日毎日ダンスを続けました。

友達を作ることを夢見ました。

それでも、他のモグラたちは穴にもぐれないモグリンをバカにし続けました。
モグリンにとって辛い日が続きました。それでも踊り続けました。

ある日、モグリンはいつものように一生懸命ダンスを踊っていました。すると、なんと空からたくさんの流れ星が降り注ぎました。よく見るとその流れ星には、なんと、たくさんの動物たちが乗りながら楽しそうにダンスをしていたのです。

ゾウのダンサー。

オオカミのダンサー。

イノシシのダンサー。
みんな楽しそうに星に乗りながらダンスを踊っていたのです。動物たちは、モグリンに星に乗って一緒にダンスを踊ろうと誘いました。

モグリンは大喜びで星に乗り、日頃練習していたダンスを踊りました。そして、自由自在に星を乗りこなせるようになりました。

動物たちは星に乗りながら宇宙中を旅するダンサーチームだったのです。動物たちはモグリンのダンスを称賛し、チームに誘いました。モグリンははじめて自分のダンスを褒めてもらい、喜んでそのチームに入りました。

モグリンはあきらめずダンスを続けたことで、ずっと望んでいた、大切な友達が沢山できました。ようやく夢がかなったのです。後にモグリンは、そのダンスチームのリーダーとなり、全宇宙中にその名をとどろかせ沢山の動物たちの憧れの存在になりました。

その名は「星に乗るモグラダンサー」
おわり
このお話のメッセージ
- この物語では、モグリンは、モグラなのに穴が掘れないという大きなハンデを背負っていました。しかし、それを受け入れ自分の大好きなダンスを武器にしようと努力しました。モグラたちには受け入れてもらえなかったけど、動物の垣根をこえて同じ志をもつ友達に巡り合うことができました。世界は広い、狭い環境にとらわれる必要はない。仮に今、友達がいなくても、自分自身を磨き続ければ、自分を受け入れてくれる友達と巡り合うことができる!という大切なメッセージが込められています。
- 自分自身が心から楽しいと思えることは、1つの才能だと思います。他の誰がなんと言おうと、自分自身が楽しいと思えることを大切にすることはとても大事なことだと思います。
- 周りの人と違う・・ということはネガティブに捉えがちだけど、違う見方をすれば自分だけにしか歩めないストーリーを築けるという事。それは自分にとっての武器になりえるのだと思います。その点でいうと、モグリンは大切な教訓を教えてくれています。